奇想楽しめるSF短編集
文庫書き下ろしSF短編集。汚れた現実への批判とやるせない思いが詰まった1冊である。藤子・F・不二雄にも通じる、あたたかいように見せて冷めている・冷酷かと思いきや救いを残す、不思議な持ち味が快い。 「時間不動産」いつの時代も、シロウトは騙されやすいもの。いい物件と思いきや、とんでもない裏事情が!!はたして、主人公の命やいかに?狂おしくもスリリング。 「国民不在」淡々とした会話劇は、なんとも皮肉のしみた驚愕のラストを迎えるのだった。 「ダ・ビ・ン・グ」録物デッキでモノをコピー!?発想の面白さに惹きつけられる。 「蜂の幸福」特殊事情にある主人公と、作り出された特殊な蜂との間に成立した或る種の情がなんとも素敵だ。 「嫌煙権」タバコが嫌いな私には身にしみるお話。ヒトという種のタバコへの嗜癖がいや恐ろしい。 「明日にのばすな」変わった法制下での悲劇。せつない。
「ドラえもん」みたいな、楽しさ
コピー機、住宅難、禁煙権など身近なテーマを「もし・・・だったら」で扱ったSF短編集。「落ち」がなんとなく、わかりそうなんだけど、はずした方が多いです。 難解な理論や、へんてこなハードウエアなども、出てきませんが、「ドラえもん」を読んでいるみたいな、楽しさがある短編集です。
早川書房
運命におまかせ ~いつも幸せを感じるあなたに~
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